JTTA指導者養成委員会


リオデジャネイロオリンピック観戦の方へ — 防虫剤と防虫ウエアー — 3/3

 8月5日からリオデジャネイロ オリンピックが開幕となります。卓球競技は8月6日から17日の日程でリオデジャネイロ ハーバ地区「リオセントロパビリオン 3」を会場に行われます。  選手サポート、観戦などで、リオデジャネイロへの訪問を予定されている卓球関係者の方もいらっしゃることと思いますので、そのような方の参考にして頂きたく、防虫対策についての情報を提供致します。

 

2016年 7月 8日

 

有資格者各位

 

公益財団法人 日本卓球協会

スポーツ医・科学委員会

委員長 松尾 史

 

リオデジャネイロオリンピック観戦の方へ — 防虫剤と防虫ウエアー — 3/3

 

先ず、リオデジャネイロの領事館情報が更新され、最新情報が掲載されておりますのでご紹介いたします。
卓球競技が行われるのはリオデジャネイロですが、インフルエンザ、ジカ熱、デング熱など結構な数が報告されています。今後、人の移動の増加に伴い感染症が拡がるのか否か恐らく大会関係者は注視していることと思います。

リオ総領事館特設ページ
http://www.rio.br.emb-japan.go.jp/itpr_ja/rio2016.html

インフルエンザ以外のジカ熱、デング熱、チクングニア熱はいずれも蚊によって媒介される感染症です。蚊に刺されないことが何よりの予防です。今回は防虫対策をご紹介いたします。

 

1.虫除け剤(昆虫などの忌避剤)
虫除け剤は様々なものが薬局で売られております。野外活動などに持参し使用経験がある方も多いのではないでしょうか。
最近、これら日本国内で発売されている虫除け剤はほとんど効果がないという情報が流れており、耳にされ、不安に思われた方もいらっしゃるかと思います。これはある面正しく、ある面で間違った情報です。
国内で発売されている虫除け剤は、蚊に刺されるのを避けるために勿論有効です。しかし、実はその効果の持続時間に問題があります。虫除け剤の有効成分はディート(DEET) と呼ばれる物質ですが、その含有量によって持続時間が異なることが知られています。

 

Ultrathon Insect Repellent Lotion(左・写真)

 

国内で発売されている虫除け剤のDEET濃度は最高12%です。残念ながら、この濃度では、効果の持続は数時間です。これに対して海外ではより高濃度の製品が販売されており、34%の製品は12時間の効果持続を謳っています。濃度が高いことについて不安を感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、世界で最も広く使われている虫除け剤であり、アメリカ疾病対策センター(CDC)がディートの使用を推奨しています。
また、先月(6月)厚生労働省が『有効成分の濃度を高めた(30%まで)虫よけ剤について製造販売の申請には早期審査を行う』という通知を出しましたので、日本でも近いうちに高濃度で持続性のあるディート製剤が販売されるものと思います。
人によっては水疱などの皮膚障害が起きることもあるようですが、リオデジャネイロでの蚊媒介感染症のリスクを考えると使用が望ましく思います。尚、乳幼児への高濃度ディート製剤の使用について諸説見受けられますので、現時点では国内で販売されている12%製剤の使用が望ましいようです(そもそも乳幼児がオリンピックに行く事はないと思いますが)。

 

(1)日本国内で販売されている最高濃度のディート含有虫除け剤

商品名:『池田模範堂 ムシベールα』
ディートを12%含有しています。  効果の有効な時間は数時間です。長く野外に居る場合には数時間おきに噴霧する必要があります。2016年2月に行われた世界卓球クアラルンプール大会にはこの製品を持参しました。

 

(2)海外からの輸入品(個人輸入です)

商品名:『 3M Ultrathon Insect Repellent Lotion 』
ディートの含有率は34%です。効果が12時間持続するとパッケージに書かれています。
この製品は日本の薬局では取り扱いがありませんので、購入するにはネット通販を利用するか(Amazonなど)、トラベルクリニックを標榜している一部医療機関で購入するかのどちらかです。私は個人的にネット通販で入手しましたが、国内在庫は無いようでありアメリカからの取り寄せに1週間ほどかかりました。

 

【使用上の注意点】

使用に際しては、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)では次のことを推奨しています。
● 使用前に製品のラベル上の指示及び注意事項を全て読む
● 傷やひりひりした皮膚にはスプレーしてはいけない
● 使用するときは囲まれていない場所でスプレーする
● 飲んだり吸入したりしないよう注意が必要
● 衣服へ塗る場合、内側(皮膚に直接触れる部分)へ塗布しない
● 帰宅後など、昆虫に接触する機会から離れた場合は速やかに石鹸等を使い、洗い落とす
● 一度スプレーした衣類を再び着用する前に衣類を洗う
● 子供同士で虫よけ剤を塗ったりスプレーしたりさせない
● 乳児は、大人の手のひらで薄く延ばし、これを塗る
● 特に乳幼児に対し使用する場合は手のひら、顔(特に目、口)を避ける
● 虫よけ剤は子供の手の届かないところへ保管する
● 夏場など、日焼け止めと併用する場合は、日焼け止めを最初に塗りその上に虫よけ剤を塗る

 

2.虫除け用衣類

虫除け剤とは異なる防虫対策があります。虫除け加工した繊維で作られたパーカー、パンツ、靴下などの着用です。これらの製品は5月に行われた日本旅行医学会のリオオリンピック向けの講演会でも紹介されていました。

虫除け加工した繊維で作られたパーカー(左・写真)

 

これらの衣類の着用だけでも有効ですが、『虫除け剤』との併用はさらに虫除け効果を高めます。かなり軽いメッシュの素材ですので着ていても負担にはならないように思います。
以下、販売メーカーのウェブサイトです。
着るだけで虫除け
http://www.mushiyoke.com/