JTTA指導者養成委員会


第2回 「卓球競技における栄養学的戦略:            速やかに回復して次の試合に備える」

今回は,委員の木村典代氏が、短時間での疲労回復が求められる卓球において、栄養学の観点から、「速やかに回復して次の試合に備える」方法についてまとめました。

(日本卓球協会スポーツ医・科学委員会委員長 吉田和人)

2020.02.10 更新

第2回 「卓球競技における栄養学的戦略:速やかに回復して次の試合に備える」

日本卓球協会スポーツ医・科学委員会委員
木村典代(高崎健康福祉大学健康福祉学部)

栄養学的にみた卓球競技の特徴は、「短時間での疲労回復が求められる競技である」ことです。 ジュニアの試合でも、国際レベルの試合であっても、1日に試合が複数回あるため、いかに速く体を回復させて次の試合に備えるかが、勝敗を決める分かれ道ともいえるでしょう。
私たちの体は、食べたもの・飲んだものからエネルギーを作りだし、体を動かしています。したがって、速やかな回復のポイントは、エネルギー源の補給といえます。
それも、①どのようなタイミングで、②何を、どれくらい補給するか?が戦略的に重要となります。

①タイミング-試合が終わったらできるだけ早いタイミングで!
回復のためのタイミングは、試合が終わった直後から30分以内を目安にしておくとよいでしょう。現在のところ、このタイミングについては不明確なところも多いのですが、身体活動が終わってからしばらくは、摂取した栄養素(特に糖質)を体に取り込む機能が高まっていることがわかっています。試合が終わったらすぐにエネルギー補給ができるように飲料などを用意しておくとよいでしょう。

②何をどれくらい-炭水化物+脂質+たんぱく質を含む飲料を!
これまで国際オリンピック委員会は、炭水化物といわれる砂糖やでんぷん質のものを、試合終了後の1時間で体重1kgあたり1gくらいを摂ること推奨していました。
炭水化物の中でもブドウ糖は主なエネルギー源栄養素であり、インスリンというホルモンの分泌によって体内(筋肉や肝臓)に取り込まれます。したがって、運動後にいかにインスリンをたくさん分泌させられるかで、回復の速さが変わるわけです。
最近の研究では、炭水化物だけではなくて、そこに脂質とたんぱく質をわずかに含んでいる飲食物の方が、インスリンの分泌が促され、糖の取り込みが高まることがわかってきました。私たちの生活の中でたんぱく質と脂質が同時にとれる物というと、牛乳があげられます。牛乳と甘いもの(砂糖や果物、ココアパウダー)の組み合わせは、おすすめの飲料といえるでしょう。
卓球選手の中でも、タピオカミルクティーなどを飲んでいる人が増えてきましたが、試合や練習後のエネルギーの回復の面から考えると、スポーツドリンクをペットボトル1本分飲むよりも、このようなドリンクを同量飲んだ方が効率的といえるでしょう。
ただし、飲めば飲むほどよいということではありません。日常的にこのようなドリンクを飲み過ぎると、食事が食べられなくなり、却って栄養バランスを崩してしまうこともあります。1日の中で試合が詰まっていて、食事を摂る十分な時間がないような時の戦略として利用することをお奨めします。

(公財)日本卓球協会 卓球:医・科学コラム 第2回 卓球競技における栄養学的戦略:速やかに回復して次の試合に備える