JTTA指導者養成委員会


第4回 「サービス、レシーブ、3球目などを 行っている割合から見た卓球ラリーの特徴」

今回は、委員長の吉田和人氏が、サービス、レシーブ、3球目などを行っている割合から、卓球ラリーの特徴について解説しました。

(日本卓球協会スポーツ医・科学委員会副委員長 飯野要一)
2020.04.10 更新

第4回 「サービス、レシーブ、3球目などを
行っている割合から見た卓球ラリーの特徴」

日本卓球協会スポーツ医・科学委員会委員長
吉田和人(順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科)
(前所属:静岡大学学術院教育学領域)

卓球において、効果的な技術練習や体力トレーニングを実施するためには、「卓球とはどのようなスポーツか?」に関する正しい理解が重要となります。ここで役に立つのは、卓球のラリーの実際に関する正確なデータです。
卓球のラリーに関するデータは、ロンドンオリンピックの149試合(ロンドンオリンピックシングルス全214試合の70%)を対象とした研究(吉田ら,2014)などで明らかにされています。「基礎データから見た卓球」(日本卓球協会スポーツ医・科学委員会情報担当発行,2019.http://pc.jtta-shidou.jp/contents/ jtta_ikagaku/viewdata/Tabletennis_viewed_from_data.pdf ,2020年3月17日参照)では、この研究の1ラリー中の打球回数(1ラリー中に相手コートに入ったサービスとリターンの合計数)のデータから、「卓球のラリーはどれくらい続く?」「様々な場面の得点率は?」についてわかりやすく紹介しています。
本コラムでは、同じ研究(吉田ら,2014)のデータから、サービス(1球目)、レシーブ(2球目)、3球目などを、どのくらいの割合で行っているかについて見てみたいと思います。
そこで図には、「各打球場面の出現率」を男女別に示しました。


図1:各打球場面の出現率

この大会における1ラリー中の打球回数の平均は男子が4.4回、女子が5.6回であった。

この図からは、以下のことがわかります。

(1) サービスについては、100%のラリーで行われていた。
(2) レシーブについては、サービスミス(男女ともに1%)を除き、男女いずれも99%のラリーで行われていた。
(3) 3球目については、サービスミスとレシーブミス(サービスエースを含む。約10%)を除き、男子では87%、女子では89%のラリーで行われていた。
(4) 全ラリーの50%以下となる打球場面は、男子が5球目以降、女子が6球目以降であった。
(5) 上記の(1)から(4)に示されたラリーの特徴は、他の国際大会を対象にした別の調査の結果(吉田,2013)でも類似していた。

こうした卓球ラリーの特徴を理解することにより、各打球場面の出現率を考慮して、「どのような打球技術やフットワークが必要であるか」を考えることができるでしょう。例えば、大切な大会が近づいた時に、出現率の高い打球場面での技術の質を向上することを特に意識して、練習計画を立案することも可能になります。
ここで紹介したのは、ワールドクラスの試合における卓球ラリーの特徴です。目標とする憧れの選手やあなた自身の試合を対象にラリー中の打球回数を測定し、上記のような分析をすることにより、目標選手や自分自身のラリーの特徴を明らかにできます。それらのデータから、目標選手のプレーに近づくためには何が必要かについて考えてみてはいかがでしょうか。

文献
吉田和人・山田耕司・玉城将・内藤久士・加賀勝 (2014) 卓球のワールドクラスの試合におけるラリーの特徴:ラリー中の打球回数に着目して.コーチング学研究,28(1): 65-74.
吉田和人(2013)こちら卓球脳開発センター 科学的視点でレベルアップ. 中学部活応援マガジン熱中! 卓球部!, ベースボールマガジン社:東京, pp.77-84.